当院では各種予防接種を行っております。
また、予定を組むのが難しい「お子様の予防接種スケジュール」についてもご相談に応じます。お気軽にご連絡ください。
※ 任意接種に関しては、事前に問い合わせ・ご予約をお願いしております。
[水痘接種について]
2014年10月1日より、水痘ワクチンの接種は予防接種法に基づく定期予防接種となります。
[高齢者予防接種について]
2014年10月1日より、高齢者肺炎球菌のワクチン接種は予防接種法に基づく定期予防接種となります。
その他接種内容については皆様お一人お一人により異なる可能性がございますので、まずは元住吉クリニックまでご連絡をお願いいたします。
[電話番号] 044-422-4077
《公費接種》
● 四種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)
ジフテリアはジフテリア菌の感染による上気道粘膜疾患です。発熱・咽頭痛・嚥下痛から始まり、鼻ジフテリアでは血液が混在した膿性鼻汁、鼻腔や上口唇のびらんがみられ、咽頭ジフテリアでは扁桃・咽頭に白~灰白色の偽膜形成を認め、喉頭ジフテリアでは嗄声や呼吸困難、場合により心筋炎を合併し、致命的になることがあります。3種混合の普及により、日本では平成11年の報告を最後に患者報告はみられません。
百日咳は百日咳菌の飛沫感染・接触感染による呼吸器感染症で、高調性痙攣性の咳が特徴的です。回復までに約3か月を要し、初期は感冒様症状を認めるカタル期(約2週間)、その後、特徴的な咳が出る咳嗽期(約3週間)回復期(3週間以上)にわかれます。母親からの免疫が期待できず、乳児期早期から罹患し、1歳以下の乳児では重症化しやすく、特に生後6ヶ月以下では肺炎や脳症から死に至る可能性も高いことが知られています。成人の百日咳感染が最近急増しており、しかも成人では軽症で見逃されやすいため、ワクチン未接種の新生児・乳児への感染が問題視されています。早期にワクチン接種をする必要があります。
破傷風は傷口から土壌に広く存在する破傷風菌が体内に侵入し、菌から産生される破傷風毒素で痙攣を引き起こす感染症です。重篤になると呼吸筋が麻痺し死に至ります。致死率は約50%です。
ポリオ(急性灰白髄炎)はポリオウィルスが経口感染し、腸管内で増殖、一部が脊髄へ侵入し、手足を中心とした弛緩性麻痺を起します。感染しても多くは無症状で、5~10%が軽い感冒症状だけですが、0.1~2%の割合で一生残る麻痺をきたします。時に呼吸筋麻痺をきたし死に至ります。
ワクチンは標準で生後3ヶ月より1歳までに3週から8週間隔(推奨は4週間)で3回皮下注射し、追加接種として標準で初回接種終了後12ヶ月から18ヶ月の間に1回接種します。
●(三種混合(ジフテリア・百日咳・破傷風))
● 二種混合(ジフテリア・破傷風)
二種混合ワクチン予防接種は乳幼児の時に受けた三種混合予防接種の免疫力を強化するために、第2期として11歳から13歳未満(誕生日前日まで)の児童を対象にしています。
● 不活化ポリオ(単独)
● Hib(インフルエンザ桿菌)
インフルエンザ菌b型(Hib)は咳、くしゃみなどの飛沫感染で、鼻咽腔で増殖し体内に侵入し、細菌性髄膜炎・敗血症・肺炎・骨髄炎などの侵襲性感染症を引き起こします。細菌性髄膜炎の起因菌で最も多く(次いで肺炎球菌)、発症年齢は0歳(ピークは生後8ヶ月)が最多で5才未満に多いことが知られています。Hib髄膜炎は化学療法を行っても予後不良の場合が多く、致死率は約5%、てんかん・難聴・発育障害などの後遺症が約25%残るといわれています。近年、抗菌薬への耐性化が進み治療が困難となっており、予防接種が必要です。
Hibワクチンは、発症年齢のピークを考え、通常は生後2ヶ月から7ヶ月未満で接種を開始します。
● 肺炎球菌(小児用)
肺炎球菌は乳幼児の鼻咽頭に高率に定着する常在菌で、飛沫感染により伝播する小児の細菌感染症の主要な原因菌です。全てが発症するわけではなく、抵抗力低下や粘膜バリアの損傷などにより体内に侵入すると発症します。髄膜炎・敗血症などが特に問題とされます。2歳未満の乳幼児で特にリスクが高く、時に死に至り、救命しても後遺症を残す可能性があるため、2ヶ月以上の乳児では積極的にワクチンによる予防が重要です。小児では13価ワクチンが使用されます。
● 麻疹風疹(MR)
麻疹は別名「はしか」と呼ばれ、麻疹ウィルスの感染でおこる急性熱性発疹性の疾患です。鼻水・咳・目やになどの症状とともに38度以上の高熱が出て、一旦解熱傾向になっても再び高熱となり、コプリック斑という口の中の頬の内側に周囲が赤く中心が白い発疹が出て、その後全身に発疹が出現、高熱は4~5日続きます。
麻疹にかかった場合、特別な治療法はありません。感染から回復まで1ヶ月ほど免疫が落ちるため、細菌の2次感染などの合併症で致命的になることがあります。
風疹は風疹ウィルスによる急性熱性発疹性疾患です。主な症状として、発疹、発熱、リンパ節腫脹がみられますが、臨床症状のみでは風疹と診断するのは困難な疾患です。基本的には症状は軽く、予後良好ですが、なかには血小板減少性紫斑病や、風疹脳炎の合併症を認めるため、軽視できない疾患です。
また、妊娠20週までの妊婦が風疹に罹患すると、胎児に感染し、難聴・心疾患(動脈管開存症など)・白内障・精神運動性発達遅滞等の先天性風疹症候群を来す可能性が高いことが知られています。治療法は麻疹同様、特別な治療法はなく、症状を和らげる対症療法のみです。
MRワクチンは第1期として1歳から2歳未満に、第2期として5歳以上7歳未満で小学校就学前1年間(4月1日から3月31日まで)に接種します。
● 日本脳炎
日本脳炎ウィルスはコガタアカイエカなどのウィルスを保有している蚊に刺されることで感染し発症します。日本脳炎はウィルスに感染した100~100人に1人が発症すると報告されています。高熱・頭痛・意識障害・痙攣などの症状を示す急性脳炎を起こします。致死率は20~40%で、小児では特に重度の障害を残すことが多いとされています。以前よりも患者数は激減しましたが、それでも近年では毎年10名未満が発症しています。
日本脳炎ワクチンは1期初回の標準接種が3歳から4歳に達するまでの期間で、1~4週間をおいて2回接種(推奨は3~4週間の間)。初回接種後おおむね1年経過(4歳から5歳に達するまでの間)した時期に追加接種。9歳以上13歳未満(標準として9歳~10歳に達するまでの間)に第2期の接種を行います。
● BCG
結核は、結核菌による感染症で、肺や色々の臓器に炎症を起こす病気です。現在でも毎年約2万人が発症し、毎年約2000人が亡くなっています。世界の中で日本は蔓延国といえます。誰でも(乳幼児でも)罹る可能性がある病気です。結核を発病して排菌している人の咳やくしゃみに含まれる結核菌を吸い込むことや、しぶきの中の水分が蒸発し、空気中に漂う菌を吸い込むことでも感染します。ただし、結核菌の大半が、鼻、喉、気管支に存在する繊毛により体外に排出され、肺に侵入しても、免疫力で退治されます。繊毛や免疫を潜り抜けた場合に、結核に感染します。通常、感染してすぐに発症するわけではなく、結核に対する免疫を獲得し、結核菌を抑え込みます。ただし、あくまでも冬眠状態にあり、免疫力が下がれば、いつでも暴れだし、発症することになります。成人の結核は感染してから、長い場合には何十年もたってから発症します。
乳幼児は免疫力が低いため、初期の病巣がそのまま進行して発症することがあり、菌が血液の中に入り込んで、全身にばらまかれる粟粒結核や、結核性髄膜炎などの重症結核を来す危険性があります。髄膜炎は1/3が死亡、治っても約半数は脳に重い後遺症を残します。
BCGは生ワクチンで、1回の接種で結核の発病を52~74%抑えてくれるワクチンです。接種後は高い結核の発病予防効果が期待でき、10年以上効果が持続します。日本では9本の針が付いた管針を使用し、スタンプ式予防接種を行います。
定期接種としてのBCGは、1歳誕生日前日までで、標準的な接種期間は生後5か月から8ヶ月に達するまでとされています。
●高齢者肺炎球菌
肺炎は日本人の死因第3位であり、そのうち1/3以上が肺炎球菌感染です。最近では抗生剤が効かない耐性菌が増加しており、予防が望まれています。
肺炎球菌は91種類認めますが、成人用肺炎球菌ワクチンは23価であり、成人で起こしやすい肺炎の約80%をカバーしています。
適応は65歳以上の方。養護老人ホームや長期療養施設に居住されている方。慢性の持病(呼吸器疾患(COPDなど)、糖尿病、慢性心不全、肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患など)をお持ちの方。病気や免疫抑制療法のため感染症にかかりやすい状態にある方。脾臓摘出などで脾機能不全のある方。
5年以内の再接種は、接種部位の発赤・腫脹・硬結が強いとされており、再接種を希望される場合には5年以上あけて接種する必要があります。したがって1回目の接種日時はしっかり把握しておく必要があります。再接種を希望される場合はご相談ください。
●水痘
水痘(みずぼうそう)は水痘-帯状疱疹ウィルスの初感染による感染症です。5歳までに80%の子供が罹患すると言われています。主な症状は発熱と水疱を伴った発疹です。
公費接種ではないため、摂取率が30~40%と低く、実は死亡率が高い疾患となっています。年間100万人程度の患者発症の内、4000人ほどが重症化し、10数人が死亡しています。
水痘ワクチンは2回接種により発病を抑えたり、重症化例はほとんどいなくなることから、1歳を過ぎたら早期に1回目を接種し、2回目は3ヶ月以上の間隔を開けて2歳未満に接種することが望ましいとされています。
●ロタウィルス(1価・5価)
ロタウィルス感染症は乳幼児に多く発症し、5歳までにほとんどすべての乳幼児が感染します。主な症状は急性胃腸炎で、時に脱水・痙攣・肝障害・腎不全・脳炎・脳症をきたし重症化します。症状が重い場合は入院が必要になります。
ロタウィルスワクチンは2種類のワクチン(1価及び5価)が認可されており、経口により接種します。
1価ワクチンは生後6週から初回接種を開始、4週以上の間隔を置いて、生後24週までに2回接種します。5価ワクチンは生後6週から開始、4週以上の間隔を置いて、生後32週までに3回接種します。
ただし、初回接種を生後6週に行うと、別のワクチンを受けるために27日以上の間隔を開ける必要が出てきてしまうため、生後8週にHib・小児用肺炎球菌・B型肝炎ワクチンと一緒に同時接種することをお勧めします。
●子宮頚癌(2価・4価・9価)
子宮頚癌は日本で年間約9,000人が発症し約2,700人が死亡していると報告されています。近年20~30代の発症が急増しています。子宮頚癌は高リスク型のヒトパピローマウィルスが持続感染し、子宮頚部の上皮内で増加し始めると、感染から数年~十数年で子宮頚癌を発症すると考えられています。子宮頚部への感染はほとんどが性的接触によるもので、子宮頚部粘膜に微細な傷が生じ、そこからウィルスが侵入して感染すると考えられています。性交経験がある女性は誰でも感染する可能性があります。
公費のヒトパピローマウィルスワクチンには3種類あります。2価ワクチンは、子宮頚癌から最も多く検出されるHPV16型・18型をターゲットにしており、4価ワクチンはHPV16型・18型に加え、尖圭コンジローマの原因になるHPV6型・11型もターゲットにしています。さらに9価ワクチンは、前記の4価に加えHPV31型・33型・45型・52型・58型をターゲットとし、子宮頚癌の原因となるHPVの88.6%をカバーするとされています。いずれも感染予防に有効ですが、すでに感染したウィルスを排除したり、子宮頚癌の進行を抑制したりするわけではなく、ウィルス感染前の感染予防が重要となります。
また、ワクチン接種後に生じたと報告のある持続性の激しい疼痛や不随意運動(体の一部が勝手に動いてしまうこと)は、機能的身体症状(身体症状はあるが、検査の結果、異常所見が見つからない状態)であると考えられています。「接種後の局所疼痛や不安等が、機能性身体症状をおこすきっかけとなったことは否定できないが、接種後1ヶ月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係に乏しい」と評価されております。様々な調査研究がされておりますが、ワクチン接種と因果関係があるという証明はされておりません。
《任意接種》
●インフルエンザ
インフルエンザは通常初冬から春先にかけて流行します。毎年、Aソ連型、A香港型、B型の3種類が、少しずつ変異しながら流行していましたが、平成21年(2009年)に新型インフルエンザA/H1N12009によるパンデミックが発生しました。新型インフルエンザは急速進行する重症肺炎を起こすことが知られており、特に喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)等の呼吸器疾患では重症化しやすいようです。2013年度でも発生が確認されており注意が必要です。
季節性インフルエンザはほとんどが自然治癒する疾病ですが、肺炎や脳症、心筋炎などの合併症をきたし重症化することがあり、死亡する危険性があります。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザ感染や発症そのものを完全に防ぐことは出来ませんが、重症化予防や合併症の予防に効果があることは証明されています。
特に高齢者に対し接種を行うと、死亡の危険性を1/5、入院の危険性を1/3~1/2に下げることが期待できます。
生後6ヶ月以上13歳未満は接種2回、13歳以上は1回接種となっています。
インフルエンザは毎年変異しながら流行することや、ワクチンの予防効果は接種後2週間から5ヶ月程度といわれているため、毎年のワクチン接種が必要です。
●帯状疱疹
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水痘・帯状疱疹ウィルスの感染によって引き起こされます。身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)に現れます。この症状に由来して、「帯状疱疹」という病名がつけられました。
ただし、水痘・帯状疱疹ウィルスの初感染では、水痘(みずぼうそう)になりますが、この時に皮膚に出来た発疹から神経を伝わって、所属の後根神経節内にウィルスが潜伏するといわれています。後根神経節内に潜伏感染していたウィルスが、加齢やストレス、過労などが引き金となってウィルスに対する免疫力が低下すると、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。
すなわち、水痘にかかったことがある方なら、誰でも帯状疱疹にかかる可能性があります。
当院では、帯状疱疹に適応のある2種類のワクチンを取り扱っています。(50歳以上適応)
『乾燥弱毒性水痘ワクチン』は、1987年に水痘(ワクチンとして認可され、2016年に帯状疱疹にも適用が拡大されました。(発症予防効果が51.3%、帯状疱疹後神経痛抑制効果が66.5%)
『シングリックス』は2020年1月に帯状疱疹専用の予防接種として認可されたもので、予防成績の大変優れたワクチンです。(発症予防効果が50歳以上97.2%、70歳以上89.8%、帯状疱疹後神経痛抑制効果が50歳以上100%、70歳以上89.8%)
それぞれに長所短所が御座いますので御検討下さい。
●(麻疹ワクチン)
●(風疹ワクチン)
●おたふくかぜ
おたふくかぜは流行性耳下腺炎といわれるムンプスウィルスによる全身性感染症です。
2~3週間の潜伏期間後、耳下腺・顎下腺等の唾液腺の腫脹を来します。合併症として、精巣炎・卵巣炎・髄膜炎・難聴などがあります。
思春期以降の成人が罹患すると、時々精巣炎や卵巣炎をきたし、特に男性は局所の疼痛・腫脹をきたします。
難聴は0.01~0.5%の頻度で起こり、一度起こると聴力の回復は困難と言われており、最も警戒する必要がある合併症です。
おたふくかぜワクチンは1歳以降で接種可能であり、遅くても集団生活を開始するまでに接種する事が望まれます。予防効果を確実にするためには2回接種が推奨されており、1歳を過ぎたら早期に1回目を接種し、2回目は第2期の麻疹風疹(MR)ワクチンと同時期(5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間)での接種が推奨されます。
●B型肝炎
B型肝炎ウィルスは肝臓に慢性の感染を起こし、将来、慢性肝炎・肝硬変・肝細胞がんを発症することが知られています。感染経路は主にB型肝炎ウィルスを含む血液あるいは血液成分との直接接触です。したがって唾液や体液(汗や涙)などからも感染します。分娩時における母子垂直感染(出産時に母親の血液によって胎児または新生児がウィルスの暴露を受ける)以外に、周囲との接触での感染が約35%を占めています。キャリアになる割合も乳幼児は多く、軟性肝炎・肝硬変・肝細胞がんの発症リスクが高くなるため、早期からのワクチン接種が推奨されています。
生後2ヶ月から接種可能で、全部で3回接種となります。3回目の接種で抗体が急激に上昇するため、必ず3回接種することをお勧めします。
- 心臓病、腎臓病、肝臓病、血液の病気などで治療を受けている方
- 発育が悪く、医師や保健師の指導を継続して受けている方
- 未熟児で生まれ、発育状態の悪い方
- 風邪などのひきはじめと思われる方
- 予防接種後2日以内に発熱や発疹、蕁麻疹などアレルギー症状がみられた方
- 投薬を受けて体に異常(皮膚に発疹が出るなど)をきたしたことのある方
- 今までにけいれんを起こしたことがある方
- 過去に中耳炎や肺炎などを患い、免疫状態を検査して異常を指摘された方
- ワクチンに含まれる成分(卵や抗生物質、安定剤など)のアレルギーがある方
※上記内容に一つでも当てはまる方は一度ご相談ください。